マンションの一括受電拒否!

マンションの判例,管理組合関連

団地管理組合法人(544戸の団地型マンション)が高圧一括受電契約への切り替えの総会決議を行うとともに、団地建物所有者等に個別契約の解約申入れを義務付けることなどを定めた細則を定めたにもかかわらず、解約申入れをしない建物所有者2名に対して、原告(組合員の一人)が、割安な電力を受けられない損害を被ったと主張して不法行為に基づく損害賠償請求を求めた事案です。これに対して最高裁判所は、総会決議や細則に基づく個別契約の解約申し入れをする義務はないとして、不法行為が成立しないと判断しました。

【最高裁の判決内容】

 最高裁は、①高圧受電方式への変更をすることとした一連の総会決議のうち、住民に個別契約の解約申入れを義務付ける部分は、専有部分の使用に関する事項を決する事項であって、区分所有法に定める共用部分の管理や変更の決議としての効力はないこと、②決議とは別に細則で解約申入れを義務付けることを定めたとしても、その部分は、区分所有法30 条1 項の「区分所有者相互間の」に該当しない以上、同項の規約として無効としました。

 最高裁が②のように判示した理由は、2つです。一つ目は、「区分所有者各専有部分で使用する電力の供給契約を解約しないことによって、それだけで直ちに他の区分所有者等の専有部分の使用や共用部分等の管理に影響を及ぼすものではないこと」、二つ目は、「高圧受電方式への変更が専有部分の電気料金を削減を目的としていて、変更されないことによって専有部分の使用に支障が生じるとか、共用部分等の適正な管理が妨げられることとなる事情はうかがわれないこと」です。

(参照) 区分所有法30条1項  建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。

                                  H30年3月 最高裁

                           

                      六法法律事務所HPから引用