理事会で役員立候補者を否決!

マンションの判例,役員関連

あるマンションでの規約、マンション管理組合の役員である理事および幹事について、「立候補者が役員候補者として選出されるためには、理事会承認を必要とする」旨の管理規約の条項(以下、「本件条項」といいます。)の有効性について・・・・。

原告らがマンション管理組合の役員として立候補したが、理事会が理事ら全員の賛成により、本件条項に基づき、これを承認しない旨の決定したことから、原告らが役員立候補権を侵害されたとして、理事ら全員を被告として、共同不法行為に基づく損害賠償請求をした事案。

高裁は、本件条項について、明示されてはいないものの、成年被後見人等やこれに準ずる者のように客観的にみて明らかに管理組合の理事としての適格性に欠ける者については、理事会が立候補を承認しないことができるという趣旨であると解され、その限度で本件条項は有効であると判示した。

そして、理事会が上記の裁量の範囲を逸脱して、立候補を認めない旨の決定をした場合は、立候補者の有する人格的利益を侵害するものとして、違法性を有すると判示したのです。

上記は、区分所有法には、規約は、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならないと定められており(30条3項)、これを害するような規約の定めは無効であることを理由とした判断である。


 
もっとも、高裁判決は、次の理由から、役員立候補者の承認をしない旨の決定をした理事らの過失を否定し、原告らの損害賠償請求を認めなかった。

ただし、規定に承認するか否かの基準が示さされていたり、理事が法律に関し専門的知識を有していたり、この判決が出た以上、今後は、違法な決定をした場合には、過失が認められ、損害賠償責任を負うおそれがありますので、注意が必要。

私見:管理規約の定めが万能ではなく、一般的な常識と比較しながらまた、専門家のアドバイスを受けていたかどうか等を含めて判例を検証する必要があると思われる。

                          

                                 H31/4/17 東京高裁