共用部分の「占有者」は管理組合?それとも全区分所有者?➡判断は最高裁へ

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漏水事故に端を発した共用部分の瑕疵について責任を負うのは誰なのかが争点になった二つの訴訟がある。控訴審判決ではいずれも共有部分の占有者は「マンションの全区分」だと認定し、管理組合の責任を主張する区分所有者の訴えを退けている。

東京地裁判決 瑕疵は躯体部分に認められるところ、本件規約上、本件建物の主体構造部は共有部分に含まれることが認められることからすれば、瑕疵があると認められる部分の占有者は当該部分を共有する本件建物の区分所有者全員である。2022.12.27

東京高裁判決 本件建物の共用部分の占有者は管理組合ではなく、本件建物の区分所有者の全員であることが認められる。管理組合が区分所有者全員との関係において共用部分を管理する責任を負うとしても、このことから直ちに民法717条1項の「占有者」として、これに基づく損害賠償責任を負うものと解することはできない。2023.9.27

         マンション管理新聞 1320号より、抜粋

私見:私たちマンション管理士は、顧問先マンションや行政の行う相談会などで共用部の管理は管理組合で行う、とアドバイスしている。「占有者」というキーワードで尋ねられたことはない。原告が共用部の管理を行う管理組合に責任があると主張する理由はよくわかる。高度な法的判断を要する事案だと思う。しかし、管理組合が「占有者」ではないと結論付けることで現実的でない全区分所有者を被告にして訴訟を提起するということがどれだけハードルが高いことか想像すると原告に同情したくなるのは私だけだろうか?最高裁の判断を待ちたい。