バルコニーに勝手に看板設置していいの??

マンションの判例,管理組合関連

管理組合の承認なしで外壁に看板設置

原始管理規約では、バルコニーは、専有部分に属すると定められていたがその後、管理規約が変更されバルコニーは、共用部分であり、区分所有者には専用使用権があるだけ、と変更された。

区分所有者Aは、5階の東側壁面に広告看板を設置工事を行った。管理組合の理事長Bと総会で訴訟当事者に選出されたCは、Aの行為を停止させるべき、看板撤去の仮処分申請を行った。Aは、これを受け入れ看板を撤去したが今度は、専用使用権のある自身のバルコニーに再設置し、玄関前のタイル張替え工事も行った。

相互の言い分

BとCは、次の通り主張し提訴。

〇管理規約においてバルコニーは、共用部分であり、区分所有者には専用使用権が存するのみ。故に看板設置は、共同利益背反行為であり、その撤去を求める。

〇玄関前のタイル壁は、共用部分であり、区分所有者の共有に属する。共有持ち分に基づく妨害排除請求により、壁タイルの撤去を求める。

これに対して、Aは次の通り、主張した。

〇広告看板も壁タイルもマンションの美観を害していない。

〇管理規約変更の通知がAに届いていらず、招集通知の手続きに瑕疵があり総会は無効。

〇BとCには、当事者適格がない。

判決は、以下の通り。

Aに対して看板撤去と壁タイルの撤去を命じた。集会の決議によって選ばれたBとCは、訴訟当事者として適格を有する。総会の招集通知は、Aのポストに投函されたというBの証言もあり、総会は有効に成立している。バルコニーは、非常時の避難通路としての役割も担っており、共用部分として規制の対象となる。バルコニーを共用部分として定めてもAに専用使用権が存する限り、規約変更は合理的でAの受忍限度内であり、特別の権利に影響を及ぼすとは思われず、Aの承諾は不要・・・などの理由でBとCの請求がほぼ認められた。

私見:今では、マンション外壁に自身の広告看板を設置するなどの行為は皆無と思われるが、バルコニー壁にアンカーボルトを打ち込んだり、バルコニー天井部(階上のバルコニーの下部)にコンクリート釘を打ち込んだりの苦情はたまに寄せられる。