マンションでは、勝手に改修工事をやっちゃダメだよ!!

マンションの判例,管理組合関連

Xは、Aマンションの1階の専有部分を区分所有しており、平成24年8月、宅配すし店を営業するB有限会社に本件専有部分を賃貸し、Bが換気口の不具合、ガスの供給不足が判明したことから、改修工事を行い、共用部分にプロパンガスのボンベを設置し、電気電力メーターを設置する等の営業の準備をしていたところ、AのY管理組合から管理規約上プロパンガスの使用が出来ない旨の指摘を受け、換気口の使用が禁止される等し、Bから賃貸借の白紙撤回の申し入れを受けたため、XがYに対して本件専有部分の区分所有権の侵害を主張し、不法行為に基づき損害賠償を請求した。本件では、プロパンガス等の設置拒否につき管理組合が不法行為責任を負うかが問題になった。本判決は、Aマンションの管理規約上、共用部分にプロパンガスボンベを設置することは事前にYの承認が必要でありところ、Bがそのような手続きが必要であるころを知らないで賃貸借契約を締結し、改修工事を施工し、Yが管理規約違反を指摘し、撤去を求め、其の後に開催された理事会、総会においても承認されなかったことから、X、Bがボンベ等を撤去するなどしたものであり、Yの一連の行為は管理組合としてXの権利を侵害するものでないとして、不法行為を否定した。

               H26/11/19 東京地裁

私見:管理規約を読まない区分所有者が増え、区分所有者が読まないのだから賃貸借人が読むはずもない。しかし、マンションでは、賃貸借人は、区分所有者が負う義務(使用方法等)と同一の義務を負うのであるから、賃借人だから関係ない、の理屈は通用しない。最近、顧問先マンションで新しく区分所有者の仲間入りをした方が管理規約も読まず、当然のことながら理事会への届け出もせず勝手に専有部分すべての床に生コンを打設した事例があった。今でも問題になっているがどうやって現状復帰するのか、今から頭が痛い!