駐車場専用使用権の売却は合法?!

マンションの判例,管理組合関連

駐車場の数が全戸数に満たないマンションでは駐車場をめぐるトラブルが起きやすく、特に、マンションの分譲時に分譲業者が敷地内に駐車場を設け、その専用使用権を特定の区分所有者に有償で分譲し、以後その区分所有者だけが駐車場を使用しうる利用形態のマンションでは、駐車場を利用できない区分所有者は不公平をと感じるので、紛争になりやすいといえます。

この方式による場合、分譲業者は、マンションの売買契約書に、駐車場専用使用権の対価金額を記載するとともに(利用者以外の契約書には金額は空欄)、「マンションの買主は駐車場を特定の区分所有者に専用使用させることを承認する」旨の条項を定め、さらに分譲時の重要事項説明書および管理規約案にも同様の規定を記載するのが通例です。

この分譲方式については、そもそも分譲業者は敷地利用権のほかに駐車場専用使用権を売却するすることによって二重の利益を得ることになるので、駐車場専用使用権分譲契約は公序良俗に反する無効な契約ではないのか、また、その分譲の対価は管理組合に帰属するものではないのか、ということが法的に問題になります。

しかし、判例は、駐車場専用使用権を取得しなかった区分所有者も売買契約書などの記載によりその専用使用権を承認してマンションを買受けたのであり、また、分譲業者はマンションの分譲価格と専用使用権の分譲価格を総合して販売計画を立てることもあるので、分譲業者が購入者の無思慮に乗じて暴利をむさぼるなどの事情が無い限り、駐車場専用使用権分譲契約がただちに公序良俗に反するものとはいえず、その対価は合意内容に従って分譲業者に帰属すると解しています。

                                     H10/10/22 最高裁

                               マンション管理ネットからの引用