その排水管は、専有部分?共用部分?

その他,マンションの判例

本件建物のA号室の台所、洗面所、風呂、便所から出る汚水については、同室の床下にあるいわゆる躯体部分であるコンクリートスラブを貫通してその階下にあるB号室の天井裏に配された枝管を通じて、共用部分である本管(竪管)に流される構造となっているところ、本件排水管は、右枝管のうち、右コンクリートスラブとB号室の天井板との間の空間に配された部分である。

本件排水管には、本管に合流する直前でC号室の便所から出る汚水を流す枝管が接続されており、A号室及びC号室以外の部屋からの汚水は流れ込んでいない。

本件排水管は、右コンクリートスラブの下にあるため、A号室及びC号室から本件排水管の点検、修理を行うことは不可能であり、B号室からその天井板の裏に入って実施するほか方法はない。

従って、本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有者に関する法律第2条4項にいう専有部分に属しない建物の附属物にあたり、且つ、区分所有者全員の共用部分にあたると解するのが相当である。

     H12/3/21 最高裁判決 ダイエックス出版「マンションのトラブル解決法」より引用  

私見:最近のマンションでは、このような構造はみられなくなってきたが築40年、50年のマンションではこのような構造形式のマンションが多くみられた。その配管からの漏水事故は、マンションの老朽化に伴い今後も出て来るだろう。コンクリートの中にあり、階下の天井裏を走る配管のメンテナンスを階上の区分所有者が行うのは実質不可能に近い。この判例が指針として、今後この問題にどのように取り組むかは、管理組合全体で協議すべきだろう。