その結露の責任は誰に問えばいいの??
本件建物の各居室内の納戸にある北側コンクリート外壁に打ち込まれたコンセントボックスの一部を調査したところ、裏側が錆びているものがあり、これは、断熱材の打ち込みが行われ断熱処理されている北側コンクリート外壁に打ち込まれたコンセントボックスが、ヒートブリッジとなり、冬期に室内外の温度差でボックス内部に結露を生じて、それが錆となったものであること及びこのことにより、漏電を防ぐために、断熱対策を行う必要があるが、設計上、上記コンセントボックスに断熱対策を行うことが指示されておらず、また、そのような施工もされていないこと及び上記コンセントボックス内部に結露が生じたのは、その場所が納戸であるため、換気がなされていない完全に密閉された部屋であり、その中で人が生活することは本来予定されていない場所であったが、それにもかかわらず居室内で生活が行われ、人体から水蒸気が発生したために生じたものであることが認められる。
そうすると、上記コンセントボックスの裏側に錆が生じたのは、納戸の使用方法を誤ったためであって、設計上断熱対策を行うことが指示されていなかったことや、施工において断熱対策を行わなかったことが設計又は瑕疵にあたるとまでは言い難い。また、仮に上記コンセントボックスの裏側に錆が生じたことが瑕疵にあたるとしても、同瑕疵は、本件請負契約23条3項の「建築設備の機器・室内装飾・家具などの瑕疵」に該当するものであるから、本訴において被告に瑕疵担保責任を問うことはできない。
そして、上記コンセントボックスの存する部屋は設計上「納戸」と明記されていることからすると、設計者、施工業者及び工事管理者には、同部屋で生活が行われることを予見すべき義務はないから、設計・工事監理や施工に不法行為法上の過失があったとまでは認定できないというべきであり、被告らに不法行為責任を問うことはできない。
H15/2/24 大分地裁
ダイエックス出版「マンションのトラブル解決法」より引用
私見:納戸に設置されたコンセントボックスの話であるが、押し入れや納戸は、湿気が溜りやすく収納物によっては尚更その感が強くなる。湿気を取る為の各種ツールもドラッグストアに行けば山ほど積み上げられている現状がある。使用方法が納戸だったから結露対策をする必要が無かった、予見する義務が無かったとするのは如何なものかと思う。北側コンクリート内のコンセントボックスであればヒートブリッジを起こし結露が生じる可能性があると予見するのは可能だったのではないかと思う。