マンション敷地に不法駐車１０数年！！
この話は数年前まで私が顧問をやっていたマンションの話です。
当時築齢２０年程度のマンションで駅近くの立地の良いマンションでした。管理会社に不満があっての相談がきっかけで顧問に就任しました。問題が山積しており、管理会社が管理会社としての仕事をしていないマンションでした。元理事長の管理組合財産の使い込み疑惑、専有部分への不法占拠者家族在住、相続人がいない他界した組合員の管理費等の滞納も数百万に達し、今後の回収の見込みもなく手つかずの状態でした。また、マンション敷地の駐車場の一区画をタイヤの空気が抜け（というより、溶けている）、車内はごみが散乱し動く気配のない車に不法占拠された状態でした。管理会社とのトラブルや他の問題の詳細はまた改めて紹介しますが、その車は放置されて１０年以上が経過していました。
その車に対しての管理会社の対応は、自社の顧問弁護士のいる福岡まで役員を連れて同行し助言を得るというものだったらしく、結果的にナンバープレートが放置車両についており、どうしようもできないというものでした。下手に動かしたり撤去したりすると管理組合が後日、所有権の侵害で訴えられる可能性があるということで管理会社としての対応は終わっていました。
つまり、管理会社もお手上げ状態だったのです。
そういう最中、私が顧問に就任しました。
失礼な話、マンション問題に精通しているはずの管理会社の顧問弁護士に解決できなかったことが一（いち）マンション管理士に解決できるとは思いませんでしたが出来ることはしてあげようと早速行動を起こしました。
この時、既に動きの悪い管理会社はリプレース業務で変更を済ませ新たな管理会社に変わっておりました。
まず、各方面（行政機関）や管理会社、役員に協力を求め、放置車両の所有者を割り出すことにしました。
所有者は、信販会社で使用者（ローン利用者）の名前も分かりました。以前、賃貸でこのマンションに住んでいた人物で部屋を出た時に車を残していったようです。
信販会社の回答は、ローンが完済されており、現在の所有者は使用者らしいとのことでした。
勿論、使用者には音信不通で連絡先すら分かりません。
本来なら、この区画を他の区分所有者に貸し出すことが出来ていたらかなりの収入があったはずですが今後もその収入が入る見込みはなく、管理組合にとってはかなりのダメージです。
そんな時にマンション在住の組合員から新たな情報が入りました。
十年以上も放置されていた車の撤去に向けて理事会が動き出したという噂を聞きつけ理事会役員に対して積極的な情報提供者が現れたのです。
その内容は、どうやら放置車両の所有者は、暴力団関係者らしい、とのことでした。
私は、その話を聞いた時、「さもあらん」と頷きました。
人の敷地に車を放置して知らん顔する人種はまずまともではありません。
それも数日どころ数十年なのです！
反社勢力と聞いて合点がいきました。
反社勢力に対して一般人が対抗できるはずはありません。
早速、理事会を開催してもらい、警察に相談するように助言を致しました。
警察関係者の知り合いはいますが、私が勝手に相談するわけにはいきません。
仕事柄、弁護士や行政機関との関わり合いもあり、暴力団に詳しい刑事の方も知っておりましたのでその方に協力してもらうことにしました。
ここからが急展開です。
やはり、警察の情報網は驚くばかりでした。
名前と暴力団に所属しているらしい、との情報だけで現在、関西方面のある組織に所属しているというところまで分かりました。
さらに、その刑事の方は、管理組合の窮状を察し、その暴力団組員に連絡を入れ、管理組合が今までの駐車場料金を請求しない代わりに速やかに放置車両を撤去するという約束までとってくれ数日後にその放置車両は撤去されました。（この刑事の方には心から感謝しております。）
勿論、バッテリー寿命は尽き、タイヤも溶けて無くなっている状況で放置車両は動きません（レッカー移動も無理でした）からマンション敷地の隣地にクレーンを入れ、放置車両を吊り上げてトラックの荷台に積み込んでもらい撤去移動してもらいました。
費用は、全て相手方負担で放置車両の所有者の弟分らしい人が数人が来て対応してくれました。
撤去現場には、長年不法占有していた車が撤去されるとの噂を聞きつけ役員と区分所有者数人が立会い、車がクレーンにぶら下げられ駐車区画が綺麗（放置車両の止まっていた車の下にはごみが散乱していましたが）になった時には拍手と歓声が上がりました。
こういう問題は、事務対応で解決することはありません。
正面から向き合い、解決するまで努力するという意気込みが大切でお茶を濁す程度の対応では解決することはないでしょう。