管理規約で役員資格に年齢制限(上限)、これって有り?

マンションの判例,管理規約関連

判例が出ているわけではないが以前、相談があった事案で理事長経験のある区分所有者の方が最近の理事会の動きが管理組合の利益につながっておらず、むしろ、管理会社の利益に結びついていると思われる。その流れを食い止める為に役員に立候補しているが理事会から拒否されている。居住しているマンションは老朽化と高齢化が進み(相談に来られた区分所有者の方もご高齢)役員の成り手がおらず、困っているはずなのに手を挙げても無視されている、との事。

また、最近、年齢制限を設けた条文が管理規約に追記され自分の年齢では役員になれなくなった、こんな規約変更は合法なのか、とのご相談であった。

まず、管理規約に年齢制限を設けるなど国土交通省も想定していないだろう、との率直な感想。合法かどうかは分からないが、マンションに限らず今後、高齢化は益々進み、元気な高齢者は多く出現するだろう。そういう社会背景があるにもかかわらず、年齢でバッサリとは首を傾けざるを得ない。推察するにものを言う区分所有者が邪魔で理事会を抱き込んだ管理会社が理事会に提案し、規約改正を行ったのだろう。本来、健全な管理会社であれば理事会から年齢制限を設けるなどの意見が仮に提案されてもそれは如何なものか、と諌めるだろう。

この件は、其の後、私のアドバイスで弁護士から内容証明を理事会と管理会社に出していただき、結果、年齢制限を設けた規約は削除されたとの報告を受けた。

65歳以上の5人に一人が認知症を発症すると言われる今日、車の免許の返納も進んでいると聞く。

しかし、一方で矍鑠として80、90歳になっても介護保険での要支援や要介護認定とは無縁の方も多い。

来年から1万円札の表紙を飾る渋沢栄一氏の「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、
九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。
」名言もある。

年齢で役員資格をバッサリ排除するなどの暴挙は、私は断じてあってはならない、と思う。