区分所有法改正!!

マンションの判例

来年から何が変わる?区分所有法改正で「管理組合の責任」はこう変わる

分譲マンションを取り巻く環境は、築年数の経過とともに確実に厳しさを増しています。マンション躯体や設備の老朽化、空き住戸の増加、高齢化、役員のなり手不足、バルコニーに放置されたゴミの山等――。こうした現場の実態を踏まえ、令和8年4月施行予定の区分所有法改正では、管理組合の「放置」を防ぐための新たな制度が盛り込まれました。

今回は、現場で実際にマンション管理に関わる立場から、「結局、何がどう変わるのか?」をできるだけ分かりやすく解説します。

管理不全は「自己責任」で済まなくなる

これまで、管理が滞っている、修繕が進まない、総会が形骸化しているといった状態でも、「区分所有者同士の問題」として放置されがちでした。

しかし改正後は、管理不全専有部分管理命令や管理不全共用部分管理命令といった制度により、行政や裁判所が関与する余地が明確になります。

つまり、「何もしない」という選択が、リスクになる時代に入ったということです。

外部専門家の関与が制度的に後押し

今回の改正で特に重要なのが、外部専門家の関与が制度として後押しされた点です。

管理組合だけでの対応が難しい場合や、専門的判断や利害調整が必要な場面で、マンション管理士などの専門家が関与することが、例外ではなく「合理的な選択肢」として位置づけられました。

これは、管理組合にとって責任の分散や判断の客観化につながる大きなメリットがあります。

現場目線で見る分かれ道

現場で感じるのは、今後はマンションごとに明確な差が出るという点です。

早めに手を打つマンションと、問題を先送りするマンションでは、同じ築年数でも10年後の姿は大きく変わります。

法改正は罰則を与えるためのものではなく、適切な管理に戻すための仕組みです。逆に言えば、「何もしない」ことの言い訳は通用しなくなります。

まとめ

区分所有法改正は、管理組合を縛るための改正ではありません。

管理を立て直すための道具であり、専門家を活用するための後押しです。

「うちのマンションは大丈夫だろうか」と感じたときこそ、それは動くべきサインかもしれません。

※ 根拠条文:区分所有法 第6条の2、第57条の2・第57条の3(管理不全専有部分・共用部分)ほか

                           2025/12/11    田原マンション管理士