役員に立候補するには理事会の承認が必要??
X1ないしX3は、Aマンションの区分所有者であり、Y1ないしY5は、Aマンションの管理組合法人の理事であり、X1らはA管理組合法人の理事長等を務めた経験があったところ、平成27年6月、A管理組合法人に臨時総会において立候補者が役員候補者として選任されるためには理事会の承認を必要とする旨の規定が管理規約に新設する決議がされ、X1らが同年7月に役員となるための立候補の届け出をしたところ、A管理組合法人の理事会は、X1らを承認しない旨の決定をしたため、X1ないしX3がY1ないしY5に対して役員立候補権の侵害を主張し、共同不法行為に基づき損害賠償を請求した。本件では、立候補者が役員候補者として選任されるには理事会の承認を必要とする旨の規定を新設する管理規約の効力、理事会の不承認決定に係る共同不法行為の成否が問題になった。第一審判決(東京地裁H30/7/31)は、本件改正事項は、理事会の広範な裁量に委ねる趣旨で制定されたものであり、本件決定は、X1らが役員となった場合には他の役員とともに円滑に理事会を運営していくことが困難であり、理事会の業務遂行に支障が生じる可能性があること等を総合的に考慮された等とし、裁量権の濫用又は逸脱はないとし、請求を棄却したため、X1らが控訴した。
H31/1/22 東京高裁
私見:続報は、分かり次第、公開しますが理事会で役員候補をフィルターにかける是非を問われれば、私は、不可と答える。そんなことを許せば、理事会が仲の良い役員のみで占められ、現役員と仲の悪い区分所有者が手を挙げた時に不承認が連続されれば、理事会での公正な運営が出来なくなる惧れが生じる。しかし、今回の判決を考えた時にX1らの人間性や他役員との関係性が重視されたものと思われる。民主主義の観点からこのような運営がなされることは避けたい。