室外機設置と規約違反!!

マンションの判例,管理組合関連

争点

区分所有者が専有部分を賃貸し、賃借人が転貸して、転借人Cが店舗の営業を行っていた。業務用室外機の設置によって生じた騒音と排気が上階の区分所有者に及ぼす影響は、受忍限度を超えるものであり、通常用法に従ったものとは言えないとして、撤去請求と慰謝料の支払いを命じた。

事実の概要

1階の区分所有者Aが、専有部分をBに賃貸したところ、Bは、店舗(CV)を開業した。Bは、店舗の陸屋根に業務用室外機を設置し、駐車場屋根にパラボラアンテナを設置した。店舗の陸屋根及び駐車場屋根は共用部分である。店舗の陸屋根には、専用使用権設定され、通常の室外機の設置場所としての用法が定められていた。その後、Bは、店舗を転貸して転借人Cが店舗の営業を継続して行った。

当事者の主張

管理組合Xは、B及びCに対して次の通り主張した。

①業務用室外機が、規約で定められた用法違反であり、騒音と排気の発生が、共同利益違反行為に該当するので、パラボラアンテナとともにその撤去を求める。

3階に居住する区分所有者Yは、B及びCに対して次のとおり主張した。

①業務用室外機の騒音被害を受けているので、この騒音被害について慰謝料の支払いを求める。

Bは、次の通り主張した。

①薬局の開業時に、業務用室外機の撤去請求はされなかった。

②業務用室外機の撤去により、廃業に追い込まれるので、撤去請求は、Xの権利の濫用に当たる。

③Yの主張する業務用室外機の騒音は、受忍限度内である。

判旨

業務用室外機の撤去請求とYに対する慰謝料請求を認める。

①業務用室外機について、薬局では3台であったが、5台に増設された。薬局では、午前10時から午後8時が営業時間であり、休日は休業していたが、コンビニエンスストアは、365日24時間営業である。2~3階区分所有者への影響は、受忍限度を超えるものであり、通常用法に従ったものといえない。

②Xの黙示の承諾は認められない。

③Yへの影響は、耳栓なしに眠れないというもので、2階は業務用室外機の騒音と排気のため空室となっている。Xの請求は権利の濫用には当たらない。あわせて、Yに対して慰謝料として15万円の支払いを命じる

④パラボラアンテナの設置は、用法違反とはいえないため、その撤去請求は棄却する。

    H17/3/24 広島地裁      出る出る受験判例160選より、引用

私見:詳細は、判決本文を参照していただきたいがおそらく、慰謝料請求にあたっては身体に与えた医者の診断書や騒音の状況を測定したデータ等の提示があったものと思われる。室外機の設置も廊下側ではなくベランダ側にあったものと推察することができるが被害者の立場で考えると相当なストレスだったに違いない。規約違反であればもっと早く管理組合が動くべきではなかったかと考える。