長寿命化促進税制導入!!

有益情報,管理組合関連

国土交通省は、4月6日「マンション長寿命化促進税制」の詳細を公表した。

改正地方税法施工規則に基づく告示に規定された「長寿命化工事」は外壁塗装、開放廊下・バルコニーなど直接外気に開放されている部分の防水、屋上・屋根・ひさしなどの防水(表1)。

表1

①マンションの建物の外壁について行う修繕または模様替え(外壁塗装工事等)
②マンションの建物の直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分について行う防水の措置を講ずるための修繕または模様替え(防水工事)
③マンションの建物の屋上部分、屋根またはひさしその他これに類する部分について行う防水の措置を講ずるための修繕または模様替え(屋根防水工事)

4月1日の国土交通省通知では工事の詳細について「長期修繕計画標準様式」が示す工事項目(表2)を参考にするよう求めている。

表2

推定修繕工事項目対象部位等
(外壁塗装工事等)
躯体コンクリート補修
外壁、屋根、床、手摺壁、軒天(上げ裏)庇等(コンクリート、モルタル部分)
(外壁塗装工事等)
外壁塗装(雨掛かり部分)
外壁、手摺壁等
(外壁塗装工事等)
外壁塗装(非雨掛かり部分)
外壁、手摺壁等
(外壁塗装工事等)
軒天塗装
開放廊下・階段・バルコニー等の軒天(上げ裏)部分
(外壁塗装工事等)
タイル貼補修
外壁、手摺壁等
(外壁塗装工事等)
シーリング
外壁目地、建具廻り、スリーブ廻り、部材接合部分等
床防水工事
バルコニー床防水
バルコニーの床(側溝、巾木含む)
床防水工事
開放廊下・階段等床防水
開放廊下・階段の床(側溝、巾木含む)
屋根防水工事
屋上防水(保護)
屋上、塔屋、ルーフバルコニー
屋根防水工事
屋上防水(露出)
屋上、塔屋
屋根防水工事
傾斜屋根
屋根
屋根防水工事
庇・笠木等防水
庇天端、笠木天端、パラペット天端、アゴ、架台天端等

概ね一般的な大規模修繕工事で実施する内容だと考えてよいだろう。各工事は、「同一の工事請負契約の中で行われた」など一体として扱われることが必要。

また、調査・診断を実施した結果、施工範囲が部分的なものになったり、実施内容が表2に示した工事項目の一部にとどまったケースでも税制の適用対象になる。

工事が適切に行われたどうかの判断は、登録を受けた建築士事務所に所属する建築士や住宅瑕疵担保保険法人が行い、証明書を作成する。判断を加える際、各工事の工法、部材等については建築工事標準仕様書・同解説JAMS]などを参考にするよう求めていた。税制では、過去のに同様の「長寿命化工事を行っている」ことも要件となっている。

過去の工事は、工法や部材の仕様を確認する必要はない。3つの工事が同時に行われていなくても問題ないが、過去の工事についても証明書を作成・提出する。こちらは、建築士事務所に所属する建築士とマンション管理士が作成する決まりだ。

                  マンション管理新聞 第1234号より抜粋 

私見:管理組合にとって有益な制度であるし、このような制度が発足しなくても自主的にやっておかないといけないことであるが過去の修繕履歴の保管や工事保証書の類の管理を要する。マンションの診断等で訪問した時に過去の修繕履歴が保管されていないという組合もある。また、大規模修繕工事も組合の予算の関係で今後、必要な修繕工事項目を同時に実施できるとは限らない。運用については折角、実施したのにこの制度を利用出来なかったという事例も出てくるのではないかと憂う。