管理費等の増額決議と規約変更!?

その他,マンションの判例,管理規約関連,管理費・修繕積立金関連

マンションの管理規約において区分所有者であるY株式会社につき原始規約で管理費、修繕積立金が著しく低廉なものとされていたところ、X管理組合法人が区分所有者間の不公平を是正する必要があるとし、臨時総会を開催し、一般の区分所有者の面積当たりの平均額のものに増額する旨の決議をしたため、XがYに対して増額に係る管理費等の差額の支払いを請求した。本件では、廉価な管理費等が認められていた状況において、増額決議をすることが有効であるかが問題になった。本判決は、議決権の代理行使のない委任状書面の確認に応じる義務がなく、特別利害関係のない第三者であり管理会社であるA株式会社の担当者が議事の出欠、議事の賛否の数の集計等に従事しており、その手続きに格別不公平さの疑念を生じさせるものでなかったとし、管理費等の増額決議が有効であるとし、請求を認容した。

                   H23/6/30 東京地裁

私見:この裁判は、おそらく管理費等の増額決議よりもその総会決議(特別決議)の成立要件(議決権行使書や委任状の信憑性)を争ったのではないかと推測する。顧問先のマンションでもモンスターとよばれる区分所有者が誰が反対で誰が賛成なのか議決権行使書や委任状を見せろ、と騒ぐ場面があるがそれを許してしまうとモンスターと呼ばれる区分所有者を恐れて公正な決議が出来なくなってしまう懸念が生じる。マンション管理士が総会に参加して議決権行使書や委任状をリアルタイムで確認し、公正で公平な決議のサポートを行う必要性があるのかも知れない。